編集ガイドや再生ガイドにも書いてありますが(*1)、TVは映像を全部表示しているわけではありません。10~20%くらいは表示されない領域 があります。これはブラウン管にブランクスペースが出ないようにするためです。
NTSCの走査線は525ラインですが、そのうち実際の映像を含んでいるのは大体 486ラインです。もしoverscanがなかったら、TVは525ラインを全部表示するでしょう。これは上下に黒帯が出ると言う事です。映像の両サイド にも普通はブランクデータがあります。一般的に実データの横幅が 704-711 " ピクセル" のDVDでは横幅を720ピクセルにするべく黒帯が付加されます(これがMPEG-2の横幅が16の倍数でなければならない理由です)。
映像データにoverscanがなかったらどうなるでしょうか?事実上Cropされたかのように表示されます(overscanがあれば、データ があっても表示されない)。ここが--overscanオプションの使い道です。
この設定はハードウェア側の対応が必要です(ソフト側の対応も必要ですが、PCモニタにoverscanはありません)。この機能を実装していな い再生機器の場合、--overscan設定は無視。なにを設定していようとcrop表示になります。
付加情報の設定。例えばファイルに付けるメタデータのようなもの。
ソースの種類を指定できる。ただの付加情報なので再生にもエンコードにも全く影響しない。
これもTVを主眼とする設定。TVは輝度範囲16-235、彩度範囲16-240を想定している。これはTVで見る限りは大丈夫だが、PCモニタでは黒が ダークグレイに、白はライトグレイになってしまう。PCモニタで見る積もりなら、AVISynthでレベル調整をしても良い。こうした事を知らなくても、 素材映像が16-235にならないような調整をしている場合もある(例えば、pure black, pure white, or pure saturated coloursを使っている場合)。
これに加え、DVDの中には0-255のフルレンジを使ったものもある。 ならばTVで0-255のフルレンジを使っても問題は無いのではないかという気もするが、これは規格上正しく無い。オーバーサチュレーションが起きる。
"--fullrange on"は再生時のレンジ補正(再生時に0-255 を 16-235にスケーリングする)。これでTVに映しても大丈夫(H.264デコード対応プレイヤの場合)。
PC モニタは0-255(以上)を表示できるので、ソフトウェアプレイヤはこの設定を無視する傾向にある。レンジ補正抜き、そのまま0-255で出力するとい うこと。だから "--fullrage on" はどちらで表示しても問題無い。
"--fullrange off"を使っても平気なのは素材映像のレンジが16-235の時だけです。