MPEG-4技術を基盤とするApple独自のメディア標準規格。構成要素は以下の通り。
iTunes:AMTエコシステムの中核となるユーザーライブラリマネージャ・兼・コンテンツ販売窓口。
AMV:Apple Media Video。拡張子.m4v。
AMA:Apple Media Audio。拡張子.m4a。
※国際標準規格.mp4にApple独自の改良を加えたもの。.m4v/.m4aファイルはほとんどの場合、.mp4と同様にお使い頂けます(※1)。
Fair Play:Appleの独自技術によるDRM。AMTエコシステム上で著作利権を保護します。
※Fair Playコンテンツの再生には以下のAMT Playerをお買い求め下さい(※3)。
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※1)国際標準規格をストイックに守るなら、使うべき拡張子は.mp4のみ。それでは厄介なのであった方が解り易い。しかしAppleが独自拡張子を作る以前のlinuxでは、コンテナに入っていないRawVideo Streamの拡張子に.m4vを使う事があったようで、ちょっとこの拡張子はlinuxに於ける国際標準規格のサポートに混乱を生んだ。なお、コンテナに入っていないと言う事はfpsなどの時間軸情報を一切持たないという事なので、時間軸のインフラであるQuickTime で RawVideoファイルを扱う事は難しいと思われる。
※2)Appleが自前のH.264コデックを出したのは2005だが、彼らはBaseline+Bに過ぎないものをMain Profile対応と謳ってみたり、詳細が広まると中華偽造iPod並みの珍Profaileをアサヒったり、あまつさえそこに8x8dctサポートを載っけてみたりとクリエイティブだ。結果的に2007秋現在のApple-H.264は8x8dctとBをサポートするBaselineという、、、H.264規格のどのプロファイルにもはめ込み難いものになっている。つか、もはや中国独自の次世代DVD規格と言った方が近い。
※3)iTunes でDRM付きファイルを買うと、AMT Player以外の選択肢が無い。iTunesでなにか買えば買うほどユーザーライブラリを囲い込まれ、そこから抜け出る術が無い。例えばSONYが Fair Playのライセンスを受けてWalkmanを出したいと思っても、Appleはその交渉に応じる気がないからだ。
それは不当だ。という声は特にEUで根強く、ノルウェイの公正取引委員会が業務改善命令を発するに至った。内容はサードパーティが望む場合は Fair Playのライセンス契約を結べるようにする事。
DRMを批判したジョブスの公開書簡一号「Thoughts on Music」は、時期的にも内容的にも、この問題から世間の目を逸らす猫ダマしになっていた。内容自体のハデさに加え、その後非DRM化が音楽ファイルのトレンドとなった事でApple批判は沈静化したが、一方でiTunesとiPodの「抱き合わせ」すなわちAMT全体としてのユーザーライブラリ囲い込みは一層強化されている。
※4)6G iPod(touch, classic, fatty nano)は、ユーザーライブラリを暗号化するようになった。この仕様変更により、オープンソースのiPod同期ソフトが締め出しを食らっている(linuxにiTunesは存在しない)。例えば iPod は使うが iTunes は肌に合わないのでSongbirdを使いたい思っても、その道は閉ざされている。つまりAMT全体としてのユーザーライブラリ囲い込みの手段が、DRM からiPodそのものに変わったと言う事。今後は囲い込まれたくなければ「iPodを買わない」という選択が必要になる。