ネズミを妖精の家だと思おう。
昔、王様は、ネズミが生まれたとたん、強制的に断種手術を行った。ネズミを独占して見せ物にしていた王様は「ネズミが勝手に増えると困るから」と 考えたのだ。
王様は自分の皮算用で、利潤を最大化できるように、少数のネズミだけを管理して育てた。人間の計算などあてにならない。王様印のネズミはどれも似 たり寄ったりで、しだいに飽きられ、王宮は寂れた。妖精たちはネズミを家にするのをやめた。王様はネズミに断種手術を施していたので、次世代のネズミは生 まれず、そこでネズミは絶滅した。
それでも、王宮の外の森では、野リスが勝手に繁殖していた。その森にふさわしい個体数と多様性を自律的に保ちながら。
人間たちは、断種手術を施された王様のネズミを哀れに思ったけれど、それを愛することはできなかった。でも、人間たちは、かわいい野リスには思わ ず微笑みを浮かべ、頼まれてもいないのに、えさを与えた。ヘルシンキの公園で見られるように、ひざの上に飛び乗ってきた野リスが、あなたのパンを無心に食 べるのをみて、あなたもなぜか幸せだった。
こうして、王様と王様のネズミは滅び、人間と森のリスはいつまでも幸せに暮らしました。