03-テレパソとiMacの比較1:主要諸元 のスペックシートを元に、「iMac」と「インターネット AQUOS」の魅力を比較してみる。
Appleは「パソコンのイメージ」。SHARPは「テレビのイメージ」。「AQUOS」が主。「インターネット」が従。そういう人に買って頂き たい!という事かと。
本体のカタログスペック、特にCPUではiMacが上です。
しかしブラウズ、メール、セキュリティタスク常駐、ときどきOffice、くらいであれば、セレロン1.6Ghzで充分な気がします。むしろ
Core2Duoが無駄でしょう。逆にメモリ4GBが最大のiMacにセレロン・モデルが無いのは、台数より利
幅という感じです。
SHARPはCPUを抑える代わりにハードディスクを奢り、しかもWinからはアクセスで きない独立回路を持っているようです。ディスクは約410GBあるのに、「PC部から使えるのは約160GB」とか、「TV録画用として約250GB」と か、「録画中もパソコンのCPUには負担をかけないため、録画中のパソコン操作もスムーズです」などの記述から考えるに、どうもセレロンPCに地デジ対応 レコーダをくっつけたっぽいです。
モニタ解像度でもiMacの方が上です。
しかしSHARPの「セットモニタ」はAQUOS。地デジチューナー付きの液晶テレビです。
こうして見ると、実は両者は同軸比較すべきものではなく、
カセットテープレコーダ VS. カセットテープレコーダ+ラジオ
のようなモノかもしれません。単純に「テレパソ」でわかれよオレって話ですが、パソコンおたくだとどうも「PCが主、テレビは付加機能!」という 考えが抜けないので。「テレビが主・パソコン/ネットは付加機能!」。この発想は日本の家電屋さんならではの ものでしょう。
*これは単に
製品企画のみならず、売り方やアフターサービスの隅々まで徹底しているハズです。
例えば、バルクの160GBをMacでフォーマットして「最大容量139.74GB」とかでたら、そういうもんだと知ってても地味に残念です。
500GBなら「最大容量465.64GB」。なら最初から460GBって書いとけよとか、タマに思いますが、おそらくこれを「不良だ!」という
方があるのでしょう。SHARPのサイトがドライブ容量にいちいち「約」ってつけてるあたりはそういう感性を「見ている」と感じます。
まず、Macintoshには年賀状関連ソフトが付属していません。日本の消費者市場では、デフォルトでこれが無いのは、この先アレもない の?コレもない の?を予感させます。最終的には宛 名職人かなにかを買う事になるしても、ちゃんとお客さんの事をみてますよ、というシグナル効果はあります。アメリカに住んでるアメリ カ人なら、iPhotoとアドレスブックでちょっと凝ったクリスマスカードが作れそうですが。
次に、携帯関連。国内で携帯電話を買うと大概はWinとの連動ソフトが付いてきます。しかしMac版は付いてきません。別途サード パーティソフトの購入が必要です。アメリカに住んでるアメリカ人な ら、OSX標準のiSyncで 住所録等 をシンクロできます。なんならMissing Syncを買ってもいいでしょう。今からならiPhone でも可。
またBootCampで慣れたWinソフトを使う事を考える場合、Macintosh付属のキーボードに「全角/半角」に相当するキーがない事が問題になるようです。ユーザー 側で対処できなくはないようですが、これは「箱から出してすぐ使える」とも「ひとにやさしい」とも言えません。
ここではこの3点に止めますが、乱暴に言うとこれらは「文化的なローカライズ」と捉える事ができると思います。ひらたく言うと、現在の(いや自分 はまだTigerなのでそこまでの)Macintoshには、左 ハンドルのアメ車をそのまま持って来たような雑さを 感じます。これらはUS/EU市場では問題にならないハズですが、裏返せばクパティノは日本市場(というか日本人のくらしぶり)を見ていないという事でも あります。
*こうした点の穴埋めにおいて、MSが国内に開発拠点を 設けて努力しているのは良く知られるところです。ある程度は国内サードパーティの努力でも補間できる筈ですが、これには頻繁なOSアップデートと、強固な秘密主義が 障害となります。
Macintoshに無くて国産Winにあるものといったら、やはりテレビなのですが、具体的な使い勝手はよく解りません。
デジタル・コンテンツ流通を、iTS / FairPlayに集約させたいAppleはこの手の製品を出していません。ですから、こうした製品のレビュー記事は普段の自分の視界外ですし、店頭では まずHPのような「素うどんPC」の方に目が行ってしまいます。
しかし、リモコンにタッチパッド載せちゃった"インターネット AQUOS" は面白いと思いました。地味ですが、「最近のテレビのリモコンとしては」シンプルな部類に思えま す。変に凝らない方が手堅いのかもしれませんが、この方向でじっくり操作性を練り込んで、ボタン数を減らしてゆこうというのは、アリかもしれません。最終 的に物理インタフェイスはぐんとシンプルにし て、機能示唆は全部画面内というのが理想かと。どうせずっとソコ見てるのだし。てゆうか振るだけとか、、、上上下下左右左右BAとかッ(シンプルは?)。
さて、コイツでどのようにPC+HDレコのキメラマッスィイインとやり取りすんのかですが、テレビ機能のソフトUIな どを見ると、タッチパッドで番組表上を彷徨ってGyaoなどに飛べるようです。伝統的なボタン類は地上波放送向けのショートカットね。ユーザー・インタ フェイスはリモコンと独自のソフト画面(シェル?)、Windowsにはその後ろで黒子に徹してもらう、というのはなにやらMVNOっぽい。GUIの MVNO、みたいな。
実は、パソコンの名前が"インターネットAQUOS"だと気づいたのはこのへんま で書いてからでした。「テレビを取り込んだパソコン」ではなく、「パソコン "も" 付いてるテレビ」というわけで す。やや話が逸れますが、もしかしたら日本人は「PC/Netリテラシー」より「TVリモコン・リテラシー」の方が高いかも知れません。 毎日パソコン の前に居る時間の方が長いと、テレビのリモコンはボタンだらけで破綻してるように見えますが、初心者から見りゃ指がキーボードショートカット覚えてるほう がヘンタイでしょう。
気になったのは、地デジの録画。できる事はわかるのですが、テレビ機能のページ等には、CPRMディ スクの再生はできるのか?そもそも録画編集やディスク書き出しできるのか?といったあたりがズバリ書いてない。「ムーブ」にはRec PotやBDレコーダなどのi.LINK対応デバイスが別に必要な様子ですが、もしかしたらこれ単独では「見る・録る・消す」しかできないのかもしれませ ん。
とはいえ、リモコンで地デジとGyaoが見れる。地デジは録画もできる。特に記載はありませんでしたが、Win-DRMベースのバン ダイ チャンネルや、NHKアーカイブス(予定)も見れるハズです。当然、iTunesもiTSもiPodの類いもバッチコイですから機種変更時のDRMデータ 移行の手間はわずかです。
さらに今なら、シャープのAQUOSが付いてこのおねだんッ!
インターネットAQUOS
(PC-AX80VW) + 32型液晶 (LC-32D10W) + らくらく配送 セット (BB加入用) 〓50,000円キャッシュバック対象品〓 |
iMac 24" (BB加入用) 〓30,000円キャッシュバック対象品〓 |
差額 | |
---|---|---|---|
本体価格 | 249,800 | 239,800 | -10,000 |
ポイント還元 | (19%)47,960 | (5%)11,990 | |
送料 | 込み | 込み | |
設置サービス | 込み | - | |
Vista Home | - | 28,000 | 28,000 |
ポイント還元 | - | (5%) 2,800 | |
Office Personal 2007 | - | 45,300 | 45,300 |
ポイント還元 | - | (13%) 5,889 | |
支払額 | 249,800 | 313,100 | 63,300 |
事実上の支払額(ポイント分減算) | 201,840 | 292,421 | 90,581 |
ここでは、Mac OSXとその付属ソフト群全体を、SHARPなどがつける付属ソフト・ハードと同じ「Win-PCに上乗せす る付加価値」と考えて見ます。いわば「素うどん」にどんな具が乗ってるか。あまりパソコン全般に詳しく無 いWinユーザーならそういう目で見比べるのではないか?という勝手な想像です。また、OooやNeoOfficeさ えありゃOfficeなんていらねぇぜ!とか、デジカメやビデオ撮りまくるなど、目的のハッキリした人(=付帯知識がそれなりにある人)も捨象してます。
想定は、そろそろあたらしーパソコン欲しいなぁ、どんなのがいーかなぁと、ぽわぽわ考えてる 人。現行機はWin。自作するほど詳しくは無い。iPodは持ってるが、iTunes以外のライブラリ管理ソフトの存在は知らない(WinにはiPodと シンクロできて、かつiTunesより"良い"~Winらしくて馴染み易い~とされるソフトがいくつかあるようです)。そして、多少Macintoshが 気にならん事もない、と言った程度。浮動層とでもいいましょうか。
この場合、真の目的はパソコンでもテレビでもありません。『お買い物の快感』です。「良い買い物をし たッ!」
「素 うどん」と思えばMacintoshは1万円安いです。しかし汁が別料金です(Vista+ Office)。そこは「素うどんの"上"(器が高級)」で乗り越えるにしても、6万円はちょっとデカイ。お財布に余裕があっ ても慎重になる金額でしょう。ここでポンと出してはカモネギカモネギ。
そこで「具」に目を転じると、テレビは「エビ天」と認めてもらえるでしょうが、Mac OSXと付属ソフトは「おばちゃんこれなんの天ぷら?」という感じなのではないでしょうか。この想定では、あれは「喰った事ないもの」です。実店舗なら、 あれはできるのこのソフトはなに?と店員さんを質問攻めにするところかと。この過程で年賀状と携帯連動が引っかかります(日本市場のみ)。この「エビ天うどん」と「中身のよくわ からない天ぷらのうどん+かっちょいい器入り」の価格差が6万円です。
為念。汁は足さなきゃうどんにならない想定です。また汁抜き(ほぼ同価格)の場合は、「Safari, Mail, アドレスブック, ウイルス対策無用(とされている)安全性, 美しい(とされている)デザイン」と「地デジ録画機能と地デジチューナー付き32型AQUOS」の競争になります。
また、マイレージやポイントを楽しみに貯めている人は、還元率も地味に気にするものです。そうした人にとってはポイント分を引いたも のが、「事実 上の支払額」です。実際には収入を得たような気分を味わっている人もあるでしょう。ポイントの付かない店もありますが、一 般的にそうした店ではそのぶんさらに安 くなります。そういう消費行動を少数派や収入不足と見て除外すべき理由は、、、特に思いつきません。ホンッキでかつかつだったらまっすぐショップ組みのホ ワイト ボックスにいくでしょうし。その途中には国産ブランドのもっと安い選択肢もあります。
一般的に、
Macintoshと
Win-PCの間にはポイント還元率に大きな差があります。
ポイント還元率を考慮する場合、価格差は9万円になります。
なお、この還元率の差(またはポイント付かないぶんの値引き)は、お店への納入価格が大きく関係しているようです。なにか販売奨励金 のようなもの が、メーカーのほうから出ているかもしれません。電器屋さんのポイント還元という商習慣が海外にあるかどうか、自分は知りませんが、あるにしても、ここま で の還元率は日本固有なんじゃないでしょうか。
実はCore2Duo搭載の上位機種、PC-AX120Vにはモニタセットがありません。お値段も23万と"まと も"です。なにやらテレビ販売部隊の思惑を含む、全社的な価格戦略のニホヒがします。ソニー、パナソニック、東芝、あ た りも全社的に似た価格戦略をとっているでしょう。
ここまででも、Macintoshなんてマニア以外に誰が買うんだ?って感じなのですが。この後さらに衝撃の事実がッ!。
インターネットAQUOS
(PC-AX80VW) + 32型液晶 (LC-32D10W) + らくらく配送 セット (BB加入用) 〓50,000円キャッシュバック対象品〓 |
iMac 24" (BB加入用) 〓30,000円キャッシュバック対象品〓 |
差額 | |
---|---|---|---|
支払額 | 249,800 | 313,100 | 63,300 |
事実上の支払額(ポイント分減算) | 201,840 | 292,421 | 90,581 |
OCN同時加入時のキャッシュバック[2] | 50,000 | 30,000 | |
ミニマム出費 | 199,800 | 283,100 | 83,300 |
事実上のミニマム出費(ポイント分減算) | 151,840 | 262,421 | 110,581 |
パソコン購入と同時にOCNに加入すると、開通後にキャッシュバックが貰える制度があります。未開通の地域などでは使えませんが、こ のキャッシュバックを値下げ原資にしている店もあります。この場合は多少値下げ幅が小さくなりますが、未開通地域の人でもYahoo! BBなどの競合に加入すればOKというメリットがあります。買い替えを機に光回線に切り替える、というのは無い話ではないでしょう。
ここでもMacintoshとWin-PCでは価格差が発生していますが、この違いがどこから来るのか、ちょっとわかりません。 別にマカだか ら毎月の回線料が安いって事もないですし、プロバイダであるOCNの付加サービスの中にMac非対応のものがあるとも考えにくいですし、、、ナゾで す。
ともかく、最大限に手間を掛けて節約した場合、インターネットAQUOSの出費は15万で済みます。対するiMacは26万。Vistaも Officeも抜きの場合でも19.7万。地デジが見れて録画もできてオマケにAQUOS付いてGyaoとか見れてこの価格差です。
光ファイバーの普及度に関しては日本は世界最強の部類ですし、この販売手法は、確実に日本固有の商習慣だと思います。携帯電話では「高い通信費を 払っているのだから毎年買い替えないと損」という考え方がそろそろ持たなくなって来ていますが、光回線ではまだ、ということのようです。 Macintoshはサムスンやノキアやモトローラの携帯に見えるかもしれません。
残るは最後の関門。初回セットアップ。
ソフマップの配送・設置サービスは2通りあります。
iMac 24"は1.のみ。インターネットAQUOSは両方コミ。
1.は恐らく、箱開けて言われた場所にならべて、キーボードとマウス繋いでさようなら。空き箱くらいは持って返って くれるでしょう。2.はこれにアンテナ接続が加わります。
一見些細な事ですが、これは、客の前でPCとテレビの電源を入れて受信確認を取ると言う事で す。一般論として、チャンネル設定と簡単な操作説明が付きます。そのためには?もちろんWinの初期設定を済ます必 要があります。パソコンに詳しく無い人は、むしろそれ が当然と考えるでしょう。「テレビの設定に来たんならちゃんと映るとこ確認せんかいッ。それがあたりまえだ ろ?」。
ひょっとしたら配送の人にとっては無料出血大サービスかもしれないのですが、テレビの売り方を取ったための副産物です。もちろん、ネットの接続設 定までしてくれる事はないでしょう。しかし、そこでできる限りのヒントはくれるのが日本人です。ここに電話すると係のものが 来ますよオカネかかるけど。とか、マニュアルのここにかいてあるんですいませけど、程度かもしれませんが。アメリカ人なら「おれの仕事はここまでなんだ」 で終わりかねません。なお、光回線キャッシュバックを店頭売りの値下げ原資にしている店の中には、回線の開通・PCの接続設定まで面倒見てくれる店もあり ます。
なにを大げさなと言われるかもしれませんが、日本人のPC/Netリテラシーの平均値は、決して高くありません。根拠↓
■日本人のPC/Netリテラシーは北米の半分
一人当り出荷台数 | 一人当りGDP (PPP) ・ドル(年) | ||
---|---|---|---|
04 | 05 | ||
米国 | 0.21 | 0.22 | 41,399ドル(2005,1位) |
日本 | 0.11 | 0.11 | 33,100ドル(2006,3位) |
カナダ | 0.18 | 0.20 | 29,700ドル(2003, 11位) |
これだけで言いきっちゃいますけど、日本人のPC/Netリテラシーは、北米の半分です。毎年5人に一人が買い替える国と、10人に 一人しか買い替えない国では、経験値に倍の差があります。ぜってー。
人がやって来て面倒見てくれるというのは、本来非常なコストがかかりますが、日本ではその対価が曖昧です。その是非は自分には判りませんが、それ で回ってる世間はなかなか大きいです。自動車や保険の営業のような業界は、それで売ってる部分が大きいですし、保 険の営業なんて「契約書難しいですからね、なにかあったらいつでも電話下さい」って、なにかあったら、お客さんに保険金だす為に上と戦う、くらいの人のほ うが成績よかったり、します。これ契約で動く社会だったら有り得ないんですよ。情と縁と信用が先。契約書とかそういうのは後!みたいな。