ひろゆき氏発言集
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イ)2007/05/11
ひろゆき氏、「ニコニコ」ヒットでも「動画は“来て”ない」 (1/2) - ITmedia News
URI:http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0705/11/news117.html
記者:岡田有花氏
1. 収益性
a. トラフィックコスト
「動画はトラフィックがやたらと大きくなってしまい、回線コストがかかるのでなかなか規模が広げられない。YouTubeのトラフィックコストは月間2億円、年間だと数十億円になると聞くが、年間の利益は1億5000万円程度。それでビジネスが成立するかというと難しいのでは」
b. 有料配信
「有料配信するとしても、課金システムにもコストがかか
る。高画質できちんと動画を送ろうとすると割に合わない」
c. 広告モデル
「無料の広告モデルも厳しい。テキストサイトなら1ページあたりせいぜい100Kバイトくらいだろうが、動画サイトだと100Mバイト・1000倍にもなる。だからといって動画サイトにテキストの1000倍の広告料金を払ってくれるかというと、そうではない。この問題を解決するくらいなら、TSUTAYAにでも行ってビデオを借りた方がいいんじゃないか」
d. 携帯モデル
「モバイル版はよく使われていて、需要があることは分かったが、パケット代はドコモに落ちていてニコニコ動画には1円も入ってきていない。パケット代を払った上で、動画にもお金を払うというユーザーは限られていて、市場はかなり狭いのでは」
2. 映像の内容
a. “自分撮り”動画
「人間が出て面白いことをするなら、テレビをつければ無料で見られる。それをいちいちネット上で、小さな画面で見る必要はない」
b. CM
「ブランディング広告となると、CMの質が商品イメージと
リンクしてしまう。質の低い動画を使ってブランディング広告を展開しようという企業はそんなにないと思う」
「例えばマイクロソフトのようなブランド価値の高い会社が、敢えてしょぼいCMを展開すれば、そのギャップが惹きつけるだろうが、金のない会社がしょぼいものを作っても、ギャップもなくてしょぼいものがあるだけ。プロレス的に、ネタの1個としては成立するだろうが、手法としては確立しないだろう」
c. 差別化要因
「絵がうまいとか、プログラミングができるといった部分
は、今後の技術やノウハウ進化でどうにかなるかもしれないが、コンテンツはアイデア次第。(個人制作のFlashアニメがテレビ番組・映画になった)蛙男商会のフロッグマンさんは、ぼくから見ても絵はうまいとは思えないが、すごいのはアイデアと行動力。目に見えない、手先じゃない部分の違いが重視されるのでは」
3. 著作権
a. コミケ的なもの
- 「コミケで出しているうちにうまくなり、出版社から本を出したというケースがままある。出版社はコミケを敵に回して、新しい作家が入らなくなるのが嫌なだけ。大丈夫と思っていても、同人誌作者が突然捕まることもあり、バランスを取っているわけではない。人のつながりを軸にした共存関係がある」
- 「ニコニコで面白い番組を作る人が、普通のテレビ番組や映画を作る、というつながりができれば、その方が日本的だろう」
d. 個別対応
- 「著作権は親告罪。権利者に嫌と言われないと嫌かどうか分からない。例えばニコニコ動画で人気となり、DVD化された『陰陽師』は、権利者側がニコニコ動画上で見つけて声をかけてくれ、ビジネス化につながった」
- 「権利者側は『違法だがメリットはあるかもしれない』とも思っている。『違法だから止めろ』と言うか、ビジネスになりそうだからとそれに乗ってしまうか、という判断は権利者ができる」
※福田正さんの「ひとつひとつ対処」と通底するような。
c. CCについて
- 「日本の著作権法では、CCを完全には適用できない。CCは企業のルールとしては使えないと思う」
- 「コンテンツを著作権フリーにした場合に企業にとってどんなメリットがあるか会議で説明できる人はいない。だから(自社の著作権を侵害した動画のアップを確認した際は)、暗黙の了解のもとで、うまくいきそうならば乗り、そうでなければ止めよう、という日本的な判断にならざるを得ない」
※CCだって「リスペクト」を担保できるワケぢゃない。許容範囲は個々の作り手次第だし、究極は当事者同士でしか決められないモノだ。はじめにルールありき、は常に机上の空論に堕する。
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ロ)2007/11/22 ニコニコ動画がテレビの座を奪う日は来ない--ひろゆき氏の分析:マーケティング - CNET Japan
URI:http://japan.cnet.com/marketing/story/0,3800080523,20361579,00.htm
記者:永井美智子氏
トラフィック
- 「総務省の試算によれば、日本のトラフィック総量は720Gbps。ニコニコ動画のトラフィックは1視聴あたり約500kbpsなので、144万人が同時に見ようとしたらダウンしてしまうし、そもそもそれに耐えうるサーバは作れない」
- すでにニコニコ動画ではピーク時のトラフィック量が60Gbpsに達し、「日本のトラフィックの12分の1を
使っちゃってる」という状況。
- アクティブユーザー数は1日100万人程度であることを考えると、数百万~数千万人に同時に同じものを見せるというテレビと同じ機能を果たすことは物理的に不可能と言っていい。
※トラフィックコストの点で、存続できるかどうかの瀬戸際ということか。
信頼性
- 「インターネットは接続保証がされていないのでそもそも信用できないという大きな問題がある。ものすごく大事な情報を流します、というときに、止めようと思ったらYahoo!
JAPANの人や僕(2ちゃんねる管理人)は止められますよ。ユーザーが集まっているサイトを運営している人が、ユーザーを転送してそこに大量のトラフィックを流したら途中の回線が止まって誰も見られないという状況は作れると思う。それは僕だけでなく、ほかの敵対している国がやるということもあり得る」。
広告モデルの阻害要因
- 「ユーザーが動画をアップロードすると、著作権法に違反しているコンテンツも出てくる。それ自体があまりよろしくないイメージなので、そんなところに広告主は広告を出したくない。ニコニコ動画は暇なユーザーが多いので、ゲームなどの広告であれば費用対効果が高いが、ブランディング広告は出さないだろう」
- 「ネットのためだけに動画を制作するような会社はほとんどない。制作費を考えたら検索連動型広告のほうが確実」
- 「これらの要素が全部成り立たないと難しい。だから個人的には、1~2年は動画ビジネスは成り立たないと思う。親会社(ドワンゴ)は株価対策のために2008年9月期中の単月黒字化を宣言しているけど、僕はうまくいかないと思ってる。僕はドワンゴの株は持っていないので」
※概ね、半年前のイの1のc、およびイの2のbに同じ。
ニコニコ動画の収益性
- 「ここ3カ月で1億8000万円くらいデータセンターに投資している」。
- 一方、有料会員数は11月13日時点で14万4000人で、10月の有料課金収入は6800万円。バナー広告収入は1800万円、「ニコニコ市場」というアフィリエイト広告による収入は1500万円。10月時点でのニコニコ市場からの収入は合計で1億100万円となっている。た
だしここには、ニコニコ動画で人気になってDVD化された「ねこ鍋」や、「エアーマンが倒せない」の着うたなどの売り上げは含まれない。
- 「dwango.jpでは、エアーマンが倒せないの着うたが宇多田ヒカルの曲よりも売れている。ニコニコ動画ユーザーにとって、どっちのほうが口ずさむ曲かといえば、エアーマン。ファッションとか携帯電話とかにお金を使わず、可処分所得が多い人が多いので、そういうのにお金を使っちゃう」
- 「データセンターの投資をやめて、無料ユーザーを締め出せば、理論的に黒字化は可能。でも無料ユーザーを含めてコンテンツをあげる人がいなくなれば、サービスとして先細る。ランニングコストを下げて利益を出すというモデルはやりたくない」
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ハ)2008/03/11
ニコニコ動画、著作権侵害のテレビ番組動画をすべて削除へ--放送局に申し入れ:ニュース - CNET Japan
URI:http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20369154,00.htm
記者:永井美智子氏
1)ニワンゴがテレビ局6社に提出した申入書の内容
1. ニコニコ動画内における既存の著作権侵害放送番組動画はすべて削除する
2. 新規投稿動画の監視を行い著作権侵害放送番組動画については直ちに削除する
補足
- 「これはテレビ局6社との間で何らかの提携(共同)関係が成立したことを意味するものではない」(ドワンゴ)。
- 「著作権者としっかりコミュニケーションを取っているという、当社の意思表示」(ドワンゴ)
※つまり一方的な意思表示。
2)ニワンゴが申入書を提出した放送局
- 日本放送協会(NHK)
- 日本テレビ放送網
- 東京放送(TBS)
- フジテレビジョン
- テレビ朝日
- テレビ東京
※つまり在京キー局+NHKぜんぶ。
3)具体的影響
- 「著作権を侵害しているコンテンツはいらない」(ひろゆき氏)
- 「対象となるのは放送番組をそのまま掲載したもののほか、MADと呼ばれる加工作品も含まれる。「放送番組と分かるものについては削除していく」(ドワンゴ)
4)音楽著作権の動向
なお、ニコニコ動画では投稿動画内における楽曲の使用に関しては、日本音楽著作権協会(JASRAC)と話し合いを続けている。
印象
イ)の時点では、著作権侵害動画については「中立」というか「他人事」に近いスタンスを取っている。
自分がニコ動のアカウントを取ったのは07秋。みくみくにされた。しかし全体としては、あまり良い印象は持たなかった。偽・うpのギョーカイ時事放談SUPER! 第4回(過去ログ消滅)で「アニメとかのタブを無くせばいいんぢゃないかな」と言っていたのでスクショを取って置いたのだが、こんな感じで、そりゃまぁ怒るわなって感じ(参考)。

ちなみに、このラジオの人たち(すいませんがどういう人かは知りません)は激怒方向だったが、同時期(07秋)に放映されていた『大江戸ロケット』には、ニコ動の画面を模したと思しきシークエンスがあり、「え?ナニコレ?暗黙のOKって事?」とも思っていた。許容範囲は個々の作り手次第だし。リスペクトの有無は当事者同士でしか決められないモノだ。
つまり、全体的な印象は良く無かったものの、ひろゆき氏の「暗黙の了解のもとで、うまくいきそうならば乗り、そうでなければ止めよう、という日本的な判断にならざるを得ない」は、すっげぇアリだと思っていた。同じ理由で、後の福田正氏の「十把一絡げにダメというのではなく、きちんとユーザーを捉え、そのユーザーとコミュニケーションをとりながら、1つ1つ認証マークを付け、1つ1つ解決していきたい」というのも、激しく納得した。
いや大江戸ロケット面白いっすよ。ニコ動でいつでも見れて、そこでちょっとでも商品が売れて、少しでも作り手に回るんなら、それはアリだなと思ってた。再放送はまずないからねぇ。知られなければ銭儲けのチャンスは無い。
ロ)は放送局に対するメッセージに見えた。
手のウチを晒して、なんらかの妥協をしたほうがお互いにはっぴーなんでないですかという、サインを送っているように見えた。
ハ)は全面降伏に見える。降伏相手は在京キー局+NHKに見える。
なぜ著作権侵害放送番組動画 "しか" 言及がないのか?日本映画製作者連盟など、その他の著作利権団体には申し入れをしないのか? DVDモノに対しては監視体制を敷かず、これまで通りの自己申告制を続けるという意味か?この文書は「誓約書」や「念書」の類いなのではないか?
小寺信良:正直、テレビはもうダメかもしれん (1/3) - ITmedia +D
LifeStyle によると:
- 総務省の調査によれば、国内で制作される映像コンテンツのうち、時間にして約92%が放送によって消費されている。
- このうち、DVDやネットなどで二次利用されるのは、わずか8%に過ぎない。
- 多くの番組が、一次流通である放送で終わってしまっている。
- ここまで二次利用が進まないのは、権利処理が複雑だから、という意見がある。
- 主にこの意見を主張しているのは、放送局だ。著作権は局が持っているにしても、出演者など実演家の権利、音楽使用料など、さまざまな処理が必要になる。
- 処理とは言うが、要するに誰にいくら払うかという話である。
- 音楽使用料に関しては比較的話が早い。JASRACがネットでの二次利用の音楽使用
料ガイドラインを提示しているからだ。とりあえず金さえ払えば文句を言わないというスタイルは、現実的ではある。
当不当は脇に置く。カネを出す人が
著作利権を持つ、というのは、おそらく自然現象だ。仔細は不明だが、浮世絵の版元だって「座」という排他的独占権を持ってたようだし。
- 制作資金はキー局に集まる莫大な広告費。
- 他に無いならば、「ほんとうの制作者」は著作利権を局に渡さざるを得ない。
- 局はその著作利権を「より多くの広告費をキー局に集める為に」使うのが、自然。
- そしてキー局に莫大な広告費が集まる構造を、維持強化する事に務めるのが、自然。
この構造が、日本国内で制作される映像コンテンツのうち、時間にして約84.6%の著作利権を握っていると言う訳だ。この構造から生まれてくるのは「シチョーリツが全て」だろう。生まれてこないのは「繰り返し何度も見る価値のあるサクヒン」、「カネを払ってでも手許に置きたいサクヒン」だろう。日本のソフトパワーを増やすのは、ど~っちだ?
在京キー局の人のスタンスは、ブ
ルーレイは大好きだがコピーワンスは大嫌い - ITmedia ライフスタイル(2004秋)に端的に現れている。曰く、「放送は生で見るものです。アサクラさん」。曰く、(コピワンは、エアチェックする気をなくさせるのが目的ですか?との質問に対し)『まさしくその通り』。コピワンもB-CASも、華頂さんなどの「著作利権団体」の与り知らぬところで導入された。彼らの口ぶりには、時に「我々が導入したわけではないのに」というもどかしさが滲む。これに対し麻倉さんが聞いたというキー局の発言は、極めて「主体的」だ。
放送免許(パイプ)を持つ者が、映像の製作者(著作利権保持)を兼ねるのは、テレビの黎明期には必要な事だったとは思う。しかし2008初春現在、それは妥当な事なのだろうか。
にしてもキー局の政治力って、なんでこんなに強いのか?キー局だけぢゃないよなこれわ。
番組枠販売を一手に牛耳る大手代理店、彼らが売った「ネットセールス枠」の広告費をキー局から貰える地方局。その経営陣には、通常「地元のセンセイ」が居る。代理店・キー局・地方局の三つを仮に「デンパキチ」と命名しようかと思う。
デンパキチの構成要素は、それぞれ「A.T. フィールド」を展開して他者の侵入を阻む。
デンパ:広告代理店。A.T.フィールドは、既得権
番組枠は広告代理店を通さないと買えない。2008/02/20に電通が発表した「
2007
年(平成19年)日本の広告費」(PDF)によると、テレビ広告費は1兆9,981億円。
偽・うpのギョーカイ時事放談SUPER! 第4回(過去ログ消滅)には、「なんであんたら通さなきゃなんないのよ、あんたらなにもしてないのに!」と言う問いに対し、
『既得権です』と言われたという下りがある。自分達が製作(つまり著作利権を確保している)したアニメの、DVDを売る為に放送枠を買う時のやり取りであるらしい。もちろんキー局から直接買えれば安く済むのだが、そうは問屋が卸さないのだそうで(お、字義通りだ)。それにしたって「他にいーかたねーのかよ!w」という感じだ。どうしてそういう不透明なならわしを維持できるのか、そもそもどうやって確立したのかは全く不詳だが、存在はするようだ。
キ:キー局。A.T.フィールドは、放送免許
これは多言を要さないと思う。電波は有限なので免許制にして割り当てる必要がある。好き勝手に使って子供のラジコンと自衛隊の通信が混ざっても困る。ちなみにNHKの年間受信料収入は6,328億円(2006年[
出典])。
チ:地方局。A.T.フィールドは、一県一波制
高度成長の不公平是正に燃える田中角栄が始めた。ついでに派閥も作れて一石二鳥。ちなみにNHKも全国の県庁近辺に「NHK放送会館」 という建物を持っているようだ。先述の通り、地方局の経営陣には概ね「地元のセンセイ」が居る。
NHKも地方組織を通じて地元に雇用とオカネをもたらす。かつ国会の影響を受け易い。
はなはだ複合的で整理が付けにくいが、デンパキチに流れ込むオカネは毎年ざっと2兆6千億円。コレを減らすもんはテキになるわな。三つのA.T.フィールドが合体すると、ちょっとスゲェA.T.フィールドができる、というのはどうか?例えば、B-CAS/コピワン、対フリーオの"制度的エンフォースメント"に、著作権法改正、など。
この突破を試みる者には「ジャイアント・インパクト」が降り掛かる、というのはどうか?
セカンド・インパクト:ホリエモン退場。
特にこの過程では一人「自殺」なさってるし、まさにABSOLUTE TERROR FIELD!サード・インパクトを避けるには、人類側も同種のA.T.フィールドを以って中和するか、膨大な量の高エネルギーをぶつけるしかないのだ!とりあえずN2爆雷で足止めしてそのスキにS2機関開発して第三新東京市がE計画で逃げちゃ駄目だ。なんの話をしていますか?<オレ。
実際にはA.T.フィールドっっつーより、中世的な「座」の概念に近いと思う。上納金を出す代わりに商売上の「排他的独占権」を認めてもらう。みたいな。戦国時代には「楽市・楽座」が経済活性化に役立ったのよ~ん?
製作(著作権)と放送(ウィンドウ)は分離したほうが、国全体ぢゃあ儲かると思うんだけどねぇ。
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ざっと図にしてみた。いつかちゃんと書く。
