ざっと読んだ。
ようするに、地上波のテレビ局はあきまへんなという内容だった。
総務省においては、平成14年から「ブロードバンド時代における放送番組制作に関する検討会」(座長:舟田正之立教大学法学部教授)を開催し、「放送番組の制作委託に係る契約見本」(平成16年3月策定)を策定するなど、放送番組の製作体制の公正性・透明性の向上に取り組んできたところである。
近年、放送コンテンツ製作における製作者の役割は、多チャンネル化や、コンテンツの流通促進の要請等から、その重要性を増しており、製作者のインセンティブ向上の観点から、製作環境の整備や製作取引の適正化を図ることが、より良いコンテンツを増加させるために必要となっている。
ほぼ同時期より、経済産業省も以下のような報告書を重ねている。また近年、公正取引委員会の活動も活発である。本ガイドラインにも言及がある。
これらのうち「新産業創造戦略」は、コンテンツ製作者の状況を、以下のようにまとめている。
○現在、映画配給会社、テレビ放送局などのコンテンツ流通部門が寡占的傾向にある中で、コンテンツの制作事業者は、製作資金調達、マーケティング等において流通事業者に大きく依存せざるを得ない状況にある。このため、コンテンツ産業では付加価値の多くを流通事業者が取得する構造にあり、コンテンツ自体の価値を創造する生産部門が必ずしも成果に応じたリターンを得られていない状況にある。
『新産業創造戦略』(04/05月,経産省) P82
ひらたく言うと、作物の売上げを、渡し船の船頭があらかた持ってくという事だ。タネモミまでヒャッハー!!みたいな。自分の理解では、今回の総務省のガイドラインは、これをなんとかしましょうという包囲網のひとつ。
本ガイドラインが対象とする放送事業者は地上テレビジョン放送事業者とする。
P3
テレビ局にズームインッ!!みたいな。
放送コンテンツの製作取引の関係を分析するに当たり、適用される法律。
本ガイドラインは、主に黄色が対象。
03/03月「アニメーション産業の現状と課題」(経済産業省文化情報関連産業課)の末尾に『7.経済産業省のアニメーション産業に関する施策』という項があるが、その中にも似たようなものが挙げられている。
- 自ら著作権を保有して多面的なビジネスを行っていく意欲のあるプロダクションが正当な報酬を得ることが可能となるようなモデル契約書の策定・普及(平成13~14年度アニメーション産業研究会)
- 独占禁止法体系の厳格な運用による放送局のプロダクションに対する優越的地位の濫用の防止
よほど目に余る話が入って来るんだろう。
とても難しい用語が並ぶが二つだけ。
「製作」と「制作」の違い | 本ガイドラインでは、すべて「製作」に統一。 個人によっても会社によっても、使い方がバラバラらしい。 なお、手許では平素、制作は手を動かして作ること、製作は著作利権のホールディング(経済的な「発意と責任」)としています。サクヒンが世に産まれるに当たっては、才覚よりカネの方が大事だから(悲しいけどカネがあれば才覚は好きに選べるけど、その逆はあんま無いのよね)。 |
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「窓口業務」 | 放送番組を二次利用する際に、窓口として取引相手を見つける営業努力をしたり、契約業務をしたり、収益から、権利者にとりぶんを持って行くなど、する仕事。 |
ヒアリングの結果、得られた問題となり得る事例の紹介。スタンスは以下の通り。
あくまで例示であり、違法であるか否かについては、実際の取引内容に即した十分な情報に基づく個別具体的な判断が必要となることに留意すべきである。事例はゴチャマンとあるが、アニメの製作発注に関する問題を一個だけ抜粋。
しかしながら、問題となりうる取引事例であることから、総務省としては、放送事業者、放送番組製作会社等関係者にあっては、放送コンテンツの製作取引に際しては、これらの事例を参考に、違反となるようなことがないように十分注意して取引に臨むことを期待するものである。
P8
事例1)放送局が製作委員会(※1)に対して、アニメ番組を製作委託した場合
【前提】○放送局は、製作委員会に参加していない。
○アニメ製作会社は、製作委員会に参加している。
○アニメ番組の著作権は製作委員会に帰属する。
A製作委員会が製作したアニメ番組がB局の放送枠で放映されることとなった。その際、B局からA製作委員会に対し、一方的に以下のような条件の承諾を求められた。
A製作委員会の幹事社(製作会社)から、局印税(※2)の率や二次利用許諾の窓口について異議を申し述べたところ、B局から「それでは放送は困難である」との返答を受けたため、やむを得ず承諾せざるを得なかった。
①放送したことがプロモーション効果につながると言われ、「局印税」として、DVD売上等アニメ番組の二次利用収益の○%を○年間放送局に納付すること、及び二次利用許諾の窓口は放送局(又は放送局の関連会社)とすること(放送局に対する窓口手数料も発生する。)。
②当該アニメ番組の海外販売の際の二次利用収益の○%を○年間放送局に納付すること、及び二次利用許諾の窓口は放送局(又は放送局の関連会社)とすること(放送局に対する窓口手数料も発生する。)。
※1 製作委員会とは、テレビアニメ作品や劇場アニメ作品を制作する際に、負債リスクの分散や、関係者間で製作費を出資し、作品にかかわる様々なビジネスを推進していく等のために設立され、通常、任意組合として結成される。
製作委員会に出資し、構成員となる事業者としては、テレビ局、映画会社、制作会社、広告代理店、商社、出版社、レコード会社、DVD販売会社、芸能事務所、インターネット各種関連会社等が挙げられる。
(出典:「アニメーション産業に関する実態調査報告書」(平成21年1月公正取引委員会))
※2 局印税とは、放送局が、アニメ番組を放送することによって、プロモーション効果があると主張し、放送したことを理由に要請する、アニメ番組の二次利用収益の配分。
P35
簡単に言うと、製作委員会に不参加=製作費出してない=リスク背負ってない。でもワケマエ寄越せ。でなきゃ放送してやらん。
本来であれば、製作委員会は、テレビ局に「放送権」を売りたいところだろう(米国のTVドラマみたいに)。しかし日本の地上波は、東京でもせいぜい5、地方によっては2局あるかどうか、NHK足してもプラス2だ。日本では「テレビ」といったらこれらを意味するってくらい、圧倒的な寡占だ。
従って、深夜アニメで多い製作委員会というのは、「DVDの宣伝」として、テレビ局から「放送枠を買っている」。テレビ局から見りゃ「お客さん」になる筈だが、客に向かって「ウチラで放送しなきゃDVD売れっこないでしょ?。ワケマエ寄越しィな?」ゆうてはる構造。
当然このコストは、DVDの売値に乗ってくるのだろう。
なお、これに類する話は『アニメビジネスがわかるさらに、番組に対する支払いが無い場合でも、ビデオグラムの分配権や主題歌の代表音楽出版権を主張し、国内の放送局であるにも関わらず海外収益の分配まで求めるという実情がある。
メダパニ。なにそれこわい。