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VP8 は救いの手

最終更新:2010/04/18

Breaking Eggs And Making Omelettesの記事『VP8: The Savior Codec』の雑訳。


 今週、ネット上を Google が 最近買収した VP8コデックをオープンソース化するというニュースが駆け巡った。私自身はまだ「見るまで信じない」立場を崩さないが、VP8のまとめを書くには良い機会だろう。


公表されているVP8

 以上が、我々が知っている On2 VP8だ。つまり、全ては On2自身の広報素材に基づいている。現時点では、エンコードされたサンプルも、公開されたエンコーダもデコーダも存在しない。従って、んなモンとり上げんぢゃねぇ!と言われりゃそれまでなんだが、まぁちょっとこのブログのサブタイトルを見ておくんなせぇ。『Topics on multimedia…』。コデックはアッシのビジネスであり(いやまぁ趣味ですが)、ナカマとつるんで200がとこのビデオコデックカタログなんぞもこさえてる物狂いでやんす。つまり技術的なディテイルに興味津々てワケで。できればサンプルやデコーダ/エンコーダを手にして、どんな用途に向くのか試したり弄ったりしてみたい。大勢の方々が(Appleを除く)企業のいいぶんを額面通りに取るのを見るのは、ちと妙な気分のする性分で。広報素材をそのまま信じる事はありません。なにしろ VP6VP7 whitepapers も同じように、H.264や他のコデックを凌ぐと書いてある。

需要の違い

 エンコ厨としてはコデックの委細を知るのは楽しいのだけど、「ふつうのひとびと」はそうぢゃない。彼らにとってビデオコデックはビデオコデックでありそれはビデオコデックでしかない。ひらたく云うと互換で無きゃ困る。画質はそりゃ大事だが、VP3ベースの Theora で十分て人も少なく無いのを考えると、VP8はもう十分スギる域に達してるように思える。VP3の5倍とか、5段上とか、そのくらいには良いハズだ。

フラッシュ殺し
  • ↓VP8 がオープンソースになる。
  • ↓一晩でメジャーなブラウザがぞろっとサポートする。
  • →翌週には Adobe Flash 撃沈。

 なぜならフラッシュの存在意義は、ブラウザでビデオが見れる事。それダケだから。この話は前にも書いた

で、結局コレはなんなんだ?

 既に VP8 を巡る憶測は多すぎるとは思うが、、、でも自分のも書きたい。

 自分の知る限り、VP8 は On2 の門外に出た事も、使われた事もない。まだ開発途上なのだろう。あるいは、アルゴリズムの大規模な見直しの最中ですらあるかもしれない。広報素材のリストは、「できること」については語っているが、コデックが「具体的にどんな事をするか」についてはほとんど何も語っていない。

 この記事を書くにあたって、私は On2 のサイトを読み直したが、特に DSP Design Line の項に、興味を引かれるものがいくつかあることに気付いた。

 そのひとつは、1SIMD専用命令抜きのSIMDというコンセプトだ。 On2 がその原点に帰った事は喜ばしい。このコンセプトは、2彼らの最古のコデック Duck TrueMotion 1 (実質的な VP1)の基盤だった。

 DSP Design Line の項は、他のどの部分よりも興味深い。
 この項には、パワフルで、フレキシブルで、用途目的のバンドワイデスが、ロー/ミディアム/ハイのいずれでも対応でき、デコーディング・アルゴリズムは、大馬力のマルチコア・デスクトップはもちろん、非力なモバイルCPUでもリアルタイム処理できるほどスケーラブルで、それでいて効果的で正確な圧縮を提供するコデックの姿が描かれている。もしこのコデックがその理想を実現するなら、そして本当にフリーライセンスで公開され、しかも既存の特許と十分に無縁であるのなら、私はVP8を讃える歌を歌うのを楽しみにしている。


※1:SIMD専用命令抜きのSIMD:
x86アーキテクチャ固有の SIMD命令セットを使うとスゴい性能が出る。代わりに他のアーキテクチャへの移植は困難になる。これはエンコードだけでなく、デコードで も同様。「パソコン以外のデバイス」が増えてゆく状況下では、このコンセプトは重みを増してゆく。
※2:Duck True Motion 1:
このコデックは、2個のSH-2を搭載するセガサターンで、ゲーム内の動画再生に使われた。

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